こんばんは。司法書士の佐藤です。
このところ、「両親が亡くなって、子がふたり(兄弟・姉妹)で遺産分割協議書を作成するときはどうしたらよいのですか?」というご質問を受ける機会が多かったので、一例ですが、遺産分割協議書の雛形をご案内しようと思います。
こんなケースです
- お父さん名義の不動産がある
- お父さんが十数年前に亡くなったけれど、名義はそのままだった
- お父さんの相続人は、妻であるお母さん・子である姉と妹(2人)の3人だった
- お母さんも数年前に亡くなった
- お母さんの相続人は、子である姉と妹の2人
2人いるので、「協議」ができます。
お父さんの遺産について、本来であれば、お母さんも相続人として、分割協議(話し合い)に参加します。
この例では、お母さんも亡くなっているので、お母さんの相続人でもある姉妹が、お父さんの「もともとの相続人」の立場と、「お母さんの遺産分割協議をする地位を相続した人[お母さんの相続人]」の立場(これらの2つの立場)で、遺産分割協議をすることになります。
遺産分割協議書
最後の本籍 山梨県中野原市●番地
最後の住所 東京都上央区晴山●丁目●番●号
被相続人 うさ山たぬ樹(平成●年●月●日死亡)←お父さんのことをかきます
最後の本籍 山梨県中野原市●番地
最後の住所 東京都上央区晴山●丁目●番●号
うさ山たぬ樹の相続人 うさ山ね子(令和●年●月●日死亡)←お母さんのことをかきます
被相続人うさ山たぬ樹の相続人は、うさ山ね子、A、Bであるところ、うさ山ね子も死亡したので、その相続人A、Bは、被相続人うさ山たぬ樹の遺産につき、分割協議を行い、次のとおり合意した。
第1条(対象となる遺産の確認)
本協議者の全ては、別紙遺産目録(以下「目録」という。)記載の各財産が被相続人の遺産であることを確認する。
第2条(遺産を取得する者)
相続人Aは、目録記載の不動産を取得する。
相続人Bは、目録記載の預金を取得する。
第3条(遺産分割の実行)
本協議者の全ては、目録記載の不動産の登記手続きの申請、預金の解約その他の手続に協力する。
第4条(新たな遺産が発見された場合の処理)
本協議書締結後、目録記載の財産以外の被相続人の遺産が発見された場合、当該遺産はAが全て取得する。
本協議の成立を証するため、本書1通を作成し、全員が署名捺印の上、原本をAが保有し、Bは写しを保有するものとする。
令和5年●月●日
住所 東京都上央区晴山●丁目●番●号
相続人兼うさ山ね子の相続人 A 実印
住所 東京都谷渋区●町●丁目●番●号
相続人兼うさ山ね子の相続人 B 実印
【対象遺産の表示】
(省略)
このような遺産分割協議書を作成し、実印で押印し、登記手続きにあたっては印鑑証明書を法務局に提出して、登記申請手続きを進めます。
(印鑑証明書は原本還付[原本を返してもらう]手続きをとることができます)
では、同様の、お父さんが十数年前に亡くなり、お母さんが数年前に亡くなったケースで、子が1人だったらどうでしょう。
残念ながら、1人では「協議」ができませんので、遺産分割協議はできないという結論が導き出されます。
この場合は、お父さんの不動産は、まずはお母さん・子の2人で2分の1(法定相続分)ずつ共有する 登記をいれたうえで、次にお母さんの持分2分の1を子に移す登記をいれる2つの申請によって、子の名義に変えることになります。
(申請書は2件分になりますが、同時に提出することは可能です。)
それでは、仮に、お父さんが亡くなってしばらくして、相続人の3人(お母さんと子2人)で、「お母さんが1人で不動産を相続しよう」という話をし、遺産分割協議書を作成していたとしたらどうでしょうか。
これについて、次回記事にしようと思います。
ぜひ考えてみてください。
ポイントは、お母さんの印鑑証明書を法務局に提出すること、できる???というところです。
さらには、こちらも仮に、同様(お父さんが十数年前に亡くなり、お母さんが数年前に亡くなったケースで、子が1人だった)の事例で、お父さんが亡くなってしばらくして、相続人の3人(お母さんと子2人)で、「お母さんが1人で不動産を相続しよう」という話をしたけれど、遺産分割協議書を作成していなかったとしたらどうでしょう。
これについても、次の次の記事でご説明しようと思います。
楽しみにしていてもらえたら嬉しいです(^^)