相続登記の添付書類②「被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)」を取得できないときはどうするの?<代替書類を準備しましょう>

· 不動産登記,相続手続き,裁判所の手続きが関わるお話

相続登記で提出する書類を準備するときに、「被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)」が忘れられやすいということは、先の記事のとおりです。

 

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さて、「被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)」が取得できないことはあるのでしょうか。

残念ながら、あるのです。

住民票の除票や戸籍の附票の除票には、市区町村における保管期間が法定されているところ、亡くなってから何年も経ってから相続登記をしようと動いた場合など、これらの書類がすでに廃棄されていることがよくあるのです。

 

※住民票の除票とは、転出や死亡などによって住民基本台帳から除かれた住民票です。

 

※戸籍の附票の除票とは、本籍を他の市区町村に移したり、死亡などにより戸籍内の“全ての方”が消除された附票のことです。よって、ある人(被相続人)が亡くなったからといって、必ず戸籍の附票の“除票”となるわけではなく、戸籍の附票として存続することもあります。例えば、その戸籍に5名いたとして、4名、転籍(婚姻による転籍など)や死亡で除籍され、最後の1人がその人(被相続人)であった場合に戸籍の附票の“除票”となります。保管期間を心配しなければならないのは、この、戸籍の附票の“除票”の場合です。

 

※住民基本台帳法の一部改正(令和元年6月20日施行)により、平成26年6月20日以降に消除された住民票の除票の保存期間は150年間に延長されました。この点、平成26年6月19日以前に消除された住民票の除票は、保存期間が5年間のため、交付を受けることができません。

戸籍の附票の“除票”も同じです。

 

それでは本題に移り、代替書類について解説します。

 

代替書類①

被相続人が対象不動産の所有権を取得した際の「権利証(登記済証)」があれば、これを提出します

ただし、「権利証(登記済証)」は、改正前の不動産登記法に基づく書類で、平成17年から平成20年頃までの間には、新たに作成されることがなくなりました。そもそも存在していない可能性のある書類なのです。

 

これ(①)が提出できないとき。

続いて、②を検討し、用意することになります。

この用意が結構大変です。

 

代替書類②

管轄の法務局にもよるようですが、一般的には、これらの書類です。

・住民票や除票・戸籍(又は除籍)の附票の廃棄証明書

・不在籍証明書

・不在住証明書

・相続人全員が作成者となる上申書

・相続人全員の印鑑証明書

・納税通知書

・納税証明書

 

上の3つは、市区町村に作成してもらう書類です。

4つめの「上申書」は、登記簿上の所有権名義人と被相続人は同一人物に間違いありません、という内容を法務局に対して上申する書類です。

これを相続人全員の連名で作成し、実印で押印し、印鑑証明書と一緒に提出します。

 

※遺産分割協議書があれば、一筆空欄に書くのでも大丈夫です

 この方法は、私も一度採用し、問題なく受け付けられました。

(当然ですが、この場合も、相続人皆さんの合意に基づいて加筆してください。)

 

初めから要ると理解して準備していればよいものの、ある程度の準備を進めた後に知ったり、申請後に法務局からの連絡で知ったりすると、結構な衝撃ではありませんか?

 

この記事がこれから準備を始めようという方の目にとまったら嬉しいなと思います。

 

(続く)

 

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